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一般的にアパートやマンションなどの賃貸用の建物を相続した場合、貸家建付地として評価減ができるほか、小規模宅地等の特例の適用が可能となります。
課税時期に、アパートやマンションに借家人がいる場合、貸家建付地として評価することができます。
貸家建付地の価額を計算する場合には、賃貸割合が必要となります。
賃貸割合とは、原則、課税時期において実際に賃貸されている部分の床面積に基づいて算定するとされており、一時的に空室となっている部分も含めていいと定められています。
つまり、賃貸用の部屋であったとしても、「一時的な空室」と認められない場合には、賃貸部分として貸家建付地の計算に含めることができない場合があります。
国税庁の質疑応答事例による「貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲」においては、以下の事実関係から総合的に判断すると答えています。
1各独立部分が、課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか
2賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか
3空室の期間に他の用途に供されていないかどうか
4空室の期間が課税時期の前後の例えば1か月程度であるなど一時的な期間であったかどうか
5課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか
ここで注目してほしいのが空室期間です。
「空室期間が例えば1か月程度であるなど一時的な期間」とされていますが、正確な期間を定めているわけではありません。
平成29年5月の大阪高裁の判決によると、空室期間を重要な要素として5か月間空室の部屋については長期間であるとし、一時的な空室とは認められないと判断されました。
新たな賃借人の募集や賃貸用として維持管理しているだけではなく、空室期間も含めて総合的に判断するとのことから、貸家建付地の評価には注意が必要です。