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相続税セカンドオピニオン事例①

時々、他の税理士が作成した相続税申告書に目を通す事、納税者の方からセカンドオピニオンを求められることがあります。

相続税申告は複雑な作業ですので申告書を見せていただくとたいがい間違いを発見いたします、今回ご紹介するのはその中でも多額の税額が絡む内容です。

手前みそですが自分でも「してやったり!」とドヤ顔したときがありました。

 

 

財産がほとんどないはずの奥さんが亡くなり相続税申告義務が発生したケース

 

高所得の夫の奥さんが若くして突然の不幸で急死されました。

葬儀後に奥さんの遺品を整理すると、奥さん名義の複数の銀行の通帳にそれぞれ数千万円、合計で2億円ほど残高がありました。

逆に高所得のご主人の預貯金は2千万円ほどしかありませんでした。

奥さんが生前にちょくちょくご主人の預金を引き出し奥さん自身の通帳に振り替えていたようでした。

奥さんは旦那さんの相続対策のつもりだったのでしょうが裏目にでた感じです。

 

ご主人は顧問税理士に相談すると「ハッキリした証拠がないのでそのまま遺産2億円で相続税申告しなくてはいけない」と返答されどうしても合点がいかず、以前から面識のあった私税理士中村に相談に来られました。

1奥さんの収入はご主人が経営されている会社の非常勤役員報酬で年100万円程度。

2奥さんの両親は健在で親から相続した財産はない。つまり2億円の内訳は奥さんの役員報酬とご主人の役員報酬から形成されているのは確か。

3ご主人はこの20年ほど安定して年収は3000万円以上あり、ご自分で散財した覚えもないのにご主人の通帳の残高が2千万円しかなかった。

これらの事実を鑑みると資金移動の照合が出来ないもののご主人の預貯金を長年に渡って奥さんがご自分の通帳に移していたのは明白でした。

 

正式に依頼を受けた私は、税務署と交渉いたしまして、

1ご主人と奥さんの直近5年の年収比率が30:1である

2生活費や養育費をすべてご主人の収入で賄っていたとしてもそれぞれの手元に残るお金の比率は10:1程度ある。

3夫婦の貯金合計(ご主人2千万円+奥さん2億円)2億2千万円はこの10:1の比率で分けるのが合理的である。

よってご主人が2億円、奥さんが2千万円とするのが適当である。

 

旨の主張をしまして、税務署を納得させました。

不必要な500万円の相続税を支払わらずに済みました。

これは逆の事例の場合(上記の場合でご主人が先に亡くなった場合は、奥さんの2億円の預金はご主人の遺産と推定して税務署は相続税を課してくる)はこのように収入で按分して移動した財産を持ち戻すのが税務署側の常ですので、税務署側は認めざるを得ませんでした。

 

鹿児島市の税理士、きしゃば会計事務所は今回相続税の専門分室「相続税専門オフィス鹿児島」を設立いたしました。

https://kagoshima-souzoku.jp/

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