開発系のベンチャー企業や急成長のベンチャー企業は多額の資金が必要となります。
そういったベンチャー企業への投資を促進するため、ベンチャー企業に対し投資を行う個人の投資家については、所得税法上の優遇措置としてベンチャー企業投資促進税制、いわゆるエンジェル税制というものが設けられています。
未知数のベンチャー企業に対して多額の投資を行うのはハッキリ言って博打です。投資家の多くは躊躇します。しかしそういった未知数のベンチャー企業を数多く育てあげ日本経済に貢献してもらわなければなりません。
そこでベンチャー企業への投資については所得税法上様々な特典を設けて、投資を促しやすくするという制度です。
ベンチャー企業側からすると、多額の投資をしてくれる投資家が天使にみえるのでエンジェル税制と呼ばれています。
投資した時点、 売却した時点 の2ポイントで所得税の優遇措置があります。
まず投資した時点で受けることが出来る所得税の優遇措置ですが、次のどちらかを選択して受けることが出来ます。
(優遇措置A)
投資金額から2000円控除した額を、所得控除出来ます。ただし限度額があり総所得金額の40%か1000万円が限度額です。
(優遇措置B)
その年の他の株式の譲渡益から、ベンチャー企業への投資額を全額控除出来ます。投資額の上限はありません。
次に売却した時点での優遇措置としては、仮に売却損が発生しても翌年以降3年にわたって赤字の繰越が出来ます。これは上場株と同じ扱いを受けるという事です。
本来所得税法上、株式投資の売買については「あぶく銭でやっているから儲かったら税金払ってもらいます。損失したって税制的な補てんはしませんよ」というスタンスなのですが、このような特例税制が存在します。
ただしこの制度は最初に説明した通り「ベンチャー企業への投資を促進する」というのが目的なので、金銭により払込による株式取得のみ適用されます。株式の転売で取得してもこの制度は利用できませんのでご注意ください。