こんにちは。鹿児島のきしゃば会計事務所のブログです。
非上場株式にかかる相続税納税が猶予される制度とは
財務内容、営業成績のよい中小企業が自社株を後継者に相続した場合は多額の相続税が課せられます。これは相続税法上非上場株式をその会社の資産内容などを元に財産価値を評価するからです。資本金が1000万円の会社でも財産価値がその10倍になることもあります。(負債が少なかったり、不動産を沢山持ってる法人は評価が増える傾向にあります)1億円の評価になるということです。相続税は最低でも1000万円加算されます。
事業承継したものの相続税の支払いに四苦八苦して本業の資金繰り悪化、最悪倒産ともなれば国家の損失です。
そこで事業承継を円滑に進めるために10年間限定で、中小企業株式を相続した場合は相続税を猶予するという画期的な税制が出来ました。
ただ気を付けないとならないのは「猶予」であり免除ではない点です。
この制度を利用して無税で株式を相続したあともしばらく気を付ける要件がたくさんあります。
相続税の納税猶予のメリット・デメリット
この事業承継税制のメリットはなんと言っても節税です。相続税0円ですからね。非上場株の相続は換価出来るものではないので非上場株式を相続すると納税資金に困ることが多かったですがその心配がなくなります。
デメリットはこの制度を受けたあとに要件を満たさなくなって取り消されたときです。元々支払うべきだった相続税の他に利子税まで支払うことになります。
納税猶予を受けたあと下記の場合になると納税猶予が取り消されます。
1 5年以内に後継者が会社の代表者でなくなった
2 後継者が当該株式を他人に譲った
3 会社が解散した
4 会社が事実上倒産
5 毎年、税務署や県に提出しなければならない継続届出書を提出し忘れた など
3と4の場合は会社が消滅し無価値になったのに税金を払えとかまさに泣きっ面に蜂です。
相続税の納税猶予を受けるための要件
おもに次のような要件があります。すべて満たさなくてはいけません。
1 相続開始から8か月以内にこの制度を受けたい旨の申請を鹿児島県知事に提出
2 被相続人が過去に会社の代表者であったこと
3 被相続人が相続開始の時点で50%超の株式を有していたこと
4 株式を相続した者が相続開始から5か月以内に会社の代表者に就くこと
5 承継する会社は上場会社、風俗営業会社、資産管理会社、事実上営業していない会社でないこと
6 もし納税猶予が取り消された場合に支払う相続税に見合う担保を提供すること
ほかに細かい規定はありますが主に上記のような要件が必要になります。
結論
財務内容がよく、営業成績もよい中小企業を無税で承継できる素晴らしい制度です。デメリットも少々ありますがそれを補って余りあるメリットがございます。
ただ相続税の納税猶予を受けるために外せない前提要件がありますのでひとつひとつ確認を行ってください。
納税猶予を受けたあとも継続して満たさなければならない要件もありますので注意を怠らないようお願いいたします。
税理士だから相続税に詳しいとは限りません(税理士の日常業務は会計です。税理士によっては相続税を数年に一回しかしない人もいます)ので、相続税に詳しい税理士さんに頼るのもよいでしょう。