個人事業の場合、事業規模が比較的小さくて、自分で売上や経費の確定申告ができるのであれば、わざわざ税理士に依頼する必要はないと思います。
事業規模が小さいイコール利益額が少ないということですから、白色申告や簡単な帳簿のみの10万円青色特別控除を選択しても税負担がそう大きくならないので、報酬まで払って税理士に依頼する必要はないと言えます。
では、事業規模がどのくらいになれば税理士が必要になるのでしょうか?
それはずばり年間の売上高が1000万円を超える時です。なぜここが目安になるかというと、次のようなことが理由になります。
1経理事務の手間の増加
売上が1000万円を超えるようになってくると、必要経費の支出の増加に伴い、領収書の枚数も多くなります。そうなると、領収書の整理・集計に手間がかかるようになってきます。
また、従業員を雇えば、給与計算や年末調整などの事務作業も発生します。
売上1000万円を超えるほどの、忙しい本業の合間を縫って、自分で経理業務をこなすのは大変だと思われます。
2支払う税金の額の増加
売上が増えれば、利益額も増え、支払う税金の金額も増えてしまいます。
所得税の税率は、所得金額(利益額)に応じて5%~45%と税率が変わります。つまり、売上が増えても、支払う税金で実質的な利益が少なくなってしまうのです。
それを避けるためには、税理士などの専門家からアドバイスを受けて、節税対策や資金繰り対策を行う必要が出てきます。
3消費税への対応
売上高1000万円を超えたら、その2年後から消費税の課税事業者になります。
消費税の課税事業者になると、消費税の納税額を計算して、消費税の確定申告をしなればなりません。特に「本則課税方式」を選択した場合、ひとつひとつを課税取引・非課税取引と判別しながら、会計帳簿を作成しなければなりません。
もちろん、会計ソフトを使えば負担は軽減されますが、消費税の確定申告をするためには、消費税法の専門知識が必要ということになるのです。
4税務調査への備え
売上高が1000万円を超えて、消費税の課税事業者になると、税務署の税務調査の対象に選ばれる確率も上がってきます。
税務署の税務調査に一人で対応するのは、時間的にも精神的にも大変な負担です。
税理士に依頼しておくと、税務調査の際には立ち合ってもらえます。
・税務調査が来ても、堂々と見せられる正確な帳簿や確定申告書を作成したい
・税務調査があっても、税務署対応は税理士にまかせて負担やストレスを減らしたい
このように思われるなら、税理士を活用してみてもいいのではないでしょうか。
5本業への専念
売上高1000万円にとどまらず、さらに多くの売上げを目指すなら、経営者は本業に集中しなければなりません。
業種にもよりますが、売上が1000万円~1500万円くらいになると、すべての業務を一人でこなすのは時間的に難しくなってきます。
「税理士に報酬費用を払うのはもったいない」といった理由で、本業だけではなく、経理・総務や雑用まで事業主自身でやっていては、売上を伸ばすことに考えが及ばなくなってしまいます。
売上高1000万円にとどまらず、業績を上げていきたいと思われるなら、本業(経営者としての業務)以外の作業仕事は他に任せてしまうほうがいいと思います。
鹿児島市の税理士、きしゃば会計事務所のブログでした。