相続税の計算をするにあたって様々な特典がありますが、最も効果が大きい制度は小規模宅地等の特例でしょう。
この制度は、「居住用宅地や自分が商売をしている事業用宅地については、一定の要件を満たせば、最大80%土地の評価を値引きしてあげますよ」というものです。
例えば東京の一等地に100坪の自宅があったとします、坪300万円だとしたら評価額は3億円!本来はこれが相続税の対象となるのですが、小規模宅地等の特例を使うと、なんと6000万円で評価してよいのです。実に2億4000万円引き!相続税率が30%だったとしたら7200万円も相続税が減額されるんです。
どうしてこんな制度が出来たのかというと、昭和後期バブル前夜、日本中の土地の価格がうなぎのぼりに上昇し、家長が亡くなり、自宅や自営の店舗しか相続財産がないのに、その土地の評価額が3億、4億となり、数千万の相続税が発生したが、当然支払えず、その生活基盤を売却して相続税納付額を作っていたという、おかしな現象が発生するようになりました。
あちこちから不満の声が上がり、「自宅や商売用の土地については多いに考慮してあげましょう」とこの制度が出来ました。
この相続税の小規模宅地の特例の対象となる土地の種類は5つあります。
Ⅰ特定居住用宅地等
これは故人が住んでいた土地の事です。
Ⅱ特定事業用宅地等
これは故人が個人で商売をしていた土地の事です。
Ⅲ特定同族会社事業用宅地等
これは、故人が同族会社の役員等の場合に、その会社に貸し付けている土地の事です。
Ⅳ貸付事業用宅地等
これは、貸アパートなどの賃貸物件の土地の事です。
Ⅴ郵便局に貸し付けられる宅地等
これは特定郵便局などの敷地です(政治的な匂いがプンプンする笑)
次回Ⅰ~Ⅴについて詳しく解説いたします。