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「短期前払費用」のメリットと落とし穴

こんにちわ。鹿児島市の税理士、きしゃば会計事務所のブログです。

 

経費計上時期の原則

 経費として計上が認められるのは該当年度に係るもののみですので、来年度分の経費を今年度に前払いで支払ったとして今年度の経費としては原則認められません。

例え来年度分の経費を今年度に支払ったとしても前払費用として予約払いのような感覚で資産として計上し、翌年度に経費として振り替えて計上いたします。

 

経費計上時期の例外

「原則認められません」と言いました。書き方からして当然例外があります。それは来年度分の経費であっても1年以内に役務の提供(経費として計上すべき時期)を受けるものについては今年度の経費として前倒しで経費にしてよいという例外規定があります。

 

具体的にいいますと、保険料の年払い、家賃の年払いなどです。

 

例えば12月決算法人が決算月の12月に、12~翌11月分の1年分の保険料をまとめて支払ったとします。

本来は12月分だけ今年度の経費とし翌1~11月分は前払費用として来年度の経費となります。これを例外的に1年分全部前倒しで今年度の経費にしてよいという制度です。

これが「短期前払費用」というものです。

 

通達上では「前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める」という風になっています。

 

適用要件は2つ。1つは「継続した取引であること」もう1つは「支払い自体が年度内にされていること」です。

 

継続した取引となると保険や家賃などに限られて来ますね。

税理士「社長。今年度はすごく利益が出ます。今のままだと法人税が500万円くらいになります」

社長「大変だ!何か経費作らないと。しかし無駄な買い物しても意味ない。何か良い節税手段はありませんか?」

と経営者からよく話を振られます。そこで年払い保険の加入を勧めることがあります。

経営者保険など金額も高額ですので滑り込みで大きな節税が出来ます。満期時にほぼ掛け金が戻りますので捨て銭というわけでもありません。

 

落とし穴

ただし落とし穴があります。

要件の一つに「支払い自体が年度内にされていること」となっていますので、年度内支払っていなくてはいけません。口座残高不足や翌営業日払いなどで引き落としが翌月になっていたりしたらアウトですのでお気をつけてください。

顧問先で一度これを経験しています。

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