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相続税の申告期限(相続発生から10カ月)までに遺産分割が整わない場合の留意事項

 

一昔前は申告期限が相続発生から6カ月でした。

相続発生からの期限が短かったため相続税の申告期限までに遺産分割が出来ないというケースが多かったようです。

四十九日まではそういう話は避けますし、相続人が鹿児島県外に住んでいたりすると揃うのは盆正月くらいでなかなか話し合う機会も少なくいつの間にか6カ月が経ってしまう事が多かったと思います。

 

現在は相続発生から10カ月と申告期限が延びたため、申告期限までに遺産分割が整わないケースは減りました。

まあそれでも(当事務所で請負う数の中で)申告期限までに遺産分割協議整わない割合が1割ほどございます。

 

今回は相続税の申告期限までに分割が整わない場合の①不利益、②ペナルティー、③注意点についてご説明したいと思います。

 

 ①未分割のまま法定相続分で相続税申告する場合の不利益

・配偶者の税額軽減の特例が使えない

・小規模宅地の特例が使えない

・税務調査の可能性が高くなる。

この二つの特例が使えないのは痛いです。配偶者は1億6000万円までは基本無税ですが、未分割の場合は通常の税率で支払います。小規模宅地の特例も「土地評価5000万円のところを1000万円で評価」というありがたい制度ですがこれを5000万円のままで評価するので税額が数百万円跳ね上がります。

また、未分割申告後に遺産分割協議が整い改めて正式な相続税申告書を提出する場合は上記の特例が適用されますので、いったん支払った多額の相続税のうち税金還付が発生します。税務署的にも多額の還付をいたしますのでチェックも厳しく税務調査の確率が高くなります。

 

 ②税金面のペナルティー

・無申告加算税

・過少申告加算税

・延滞税

分割協議が整わないのを理由に期限までに申告をしなかった場合は、無申告加算税が課せられます。本来納付すべき税額の5~20%の罰金税です。

 

遺産の洗い出しが不完全状態でとりあえず未分割での期限内申告を行う場合で後日提出する正式な相続税申告で追加の相続税が発生した場合は過少申告加算税が0~15%課せられます。0%と書きましたが税務署に指摘される前に自主的に正式な相続税申告書を提出する場合には課せられません。

 

延滞税は申告期限日から実際に納付した日までの延滞利息税として7.3~14.6%の延滞利息が付きます。

 

 ③未分割で期限内申告をする場合の注意点。

ただ一つ「申告期限後3年以内の分割見込書」の添付を忘れない事です。

これの添付を忘れちゃうと分割が整った後の配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例の制度が基本的に適用されませんのでご注意ください。

付けくわえるなら納税資金の準備ですかね。配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例の適用がありませんので多額の相続税を前払いする形となりますので納税資金の準備が必要です。

例えばご自宅と預金で遺産1億円相続人3人というケースですと本来なら100~200万円の相続税で済むはずが、未分割での申告ですと600~700万円をとりあえず支払うことになります。

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