”節税”は合法で、ルールにのっとって財務戦略を立てた結果です。”脱税”とは違法で納税額を減らす行為ですから、”根本的”に違います。
ちょっと横道にそれましたが、財務戦略(守備)としての一つをご紹介いたします。
”逓増定期保険‼”
「…保険?」
逓増定期保険とは、法人契約用の生命保険で社長や取締役などの経営陣に万一が起こった時に企業の存続が揺らぐことを抑えるための保険と思っていただければいいと思います。
なのですが保険の本来の目的以外の思惑で存在する保険商品なのです。
「・・・・?」
ちょっと趣旨が変わっていませんか?と思われるとおもいますが、この保険、実に優れものです。
いろんなタイプの逓増定期保険がありますが、基本的には事前に満期日を設定して保険料を納めていくのですが、この保険料の半分が資産計上でき、さらに半分は損金として会計処理できるのです。
そして、この保険は途中解約をした場合、実質的に払い込んだ保険料の金額と同額以上の金額が帰ってくる場合もあります。
では具体的に説明すると仮に平均1000万円の当期利益が5年続いたとします。
何の節税対策もしてなかった場合、法人税の利率を36パーセントとして計算すると、1年で360万円納付して法人税額は5年で(360万円×5年)1800万円です。
では、比較しやすいように、1000万円の保険料を払い込んだ場合で見てみましょう。
半分の500万円は損金として処理できますので、法人税は500万円に対する180万円(36%計算)です。法人税納付額は5年で180万円×5年=900万円の節税が出来ます。
5年後に解約した場合、払い込んだ額の(仮に)95%にあたる解約帰戻金があったとすると、4750万円入金されることになります。
会計処理すると次のようになります。
現金4750万円 /保険積立金 2500万円
/雑収入 2250万円
となります。
しかし、この状態ではただの税金の繰り延べになっただけで、5年後雑収入の分に法人税が課せられ意味がありません。
逓増定期保険を活用した節税対策では、契約時に解約時のことも考慮したうえで加入する ことが重要になってきます。
ハッキリ申します。逓増定期保険は役員に対する退職金に充てるための、保険の名を借りた退職金積み立てです。
預金で積み立てると全く経費になりませんが、逓増定期なら半分が経費となります。
そして解約した年に多額の雑収入を計上しますが、同じ年に役員退職金を多額に掃き出し経費を作るので利益と経費が相殺されます。
また、節税以外のメリットもあります。
保険なので役員に万一がなったら本来の保険の目的ある保険金が出ます。あと保険契約期間中に、この解約返戻金を担保に借入を行うことができます。急に資金が必要になた時に、金融機関がなかなか融資の話を進めてくれない場合など、有効な手段の一つとなるのではないでしょうか?
これを”契約者貸付制度”といいます。
4年未満で解約すると解約返戻の利率が極端に悪くなる事や、予定解約時期を過ぎて解約しても解約返戻の利率が年々落ちていくなどのデメリットがないわけではありませんが、代表者が60代にさしかかったた企業では重宝される節税方法です。