遺言がない場合など、相続人たちは話し合いの場を設けて遺産の分割について話し合います。分割案が整ったらそれを正式な書面にします。これが遺産分割協議書です。遺産分割協議書作成の大前提は相続人すべての参加と合意ですので、「あいつは親の面倒は全く見なかった放蕩息子だった。遺産は分けたくないので参加させない」なんていうのは通りません。
遺産分割協議書がない=遺産分割がまだ整っていない と法的には認識しますので、遺産分割協議書がないと不動産の名義書きかえが出来ない、一部の銀行や証券会社での解約手続きが出来ない、相続税申告でさまざまな特典が受けられないなど不都合なことが多いです。意外に知られてないのが乗用車の廃棄処理です。親の形見として引き続き乗り、買い替えるからいざ処分しようとすると「名義がまだお父さんのままですね、遺産分割協議書がないと処分できません」などという7年殺しみたいなセリフを吐かれる場合があります(体験談笑)
書式については縦書き横書きどちらでも良いです。昔は手書きの縦書きが多かった気がします。今はPC入力がほとんどなので横書きが多いです。
用紙の大きさも自由です、ただ筆記具は鉛筆や消せるボールペンは無効です。
形式については、誰がどの遺産を相続するかを明確に記し(忘れがちですが負債もマイナスの遺産ですので誰が負担するか記す)最後の整った日付と相続人全員の連名で署名押印し、基本相続人の数だけ部数を作成します。収入印紙は要りません。
相続人の中に未成年がいる場合が面倒で、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらい、その特別代理人が替わって遺産分割協議に参加します。ちなに特別代理人にはその親などは遺産分割の利害関係がありますので選任できません。多くの場合は親類の方が選任されるようです。
「遺産は田舎の山しかない。面倒くさいからこのまま放っておこう」なんて考えないですください。自分の子供や孫が大変困ります。私の実体験ですが山の名義がひい爺さんのままでひ孫の代にいざ名義書換しようとしました。ところが子孫が枝分かれして代襲相続人が数十名存在し、すべての方の印鑑が必要で到底不可能で結局さらに放置せざるを得なかったことがありました。
鹿児島 税理士 きしゃば会計事務所