鹿児島市にある税理士事務所、きしゃば会計事務所のブログです。
今年も10月に入り残すところ3ヶ月を切りました。個人事業を営んでいる方は今年の収支を出されて、来年の確定申告に向けて準備を行う時期になってきたのではないでしょうか。
所得税の計算では様々な控除があるのをご存知でしょうか。
有名なところですと、医療費控除や配偶者控除、事業を行われている方ですと、小規模企業共済に加入されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
所得控除の一つに雑損控除というものがあります。今回はこちらについてご紹介したいと思います。
雑損控除とは、『災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等に、一定の金額を受けることができる所得控除』のことを言います。
どんな資産にこの雑損所得が使えるかといいますと、納税者本人のものか、納税者と同じ財布で生活している配偶者などの親族で総所得金額等が38万円以下の人のものになります。
また、その資産は生活に通常必要な範囲での資産であることが条件です。
ですので、下記の資産について受けた損失額は雑損控除の対象とはなりません。
1生活に通常必要でない資産
※『生活に通常必要でない資産』とは、例えば別荘、趣味、娯楽、保養又は鑑賞目的で保有する不動産、貴金属等1個又は一組の価格が30万円を超えるものなどの生活に通常必要でない動産をいいます。
2棚卸資産や事業用の固定資産等
また、災害についてはなんでも良いわけではなく、下記に限定されています。
1震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害
2火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
3害虫、害獣、その他生物による異常な災害
4盗難
5横領
以上となります。振り込め詐欺やワンクリック詐欺などの詐欺により損失が生じた場合でも、雑損控除として申告することはできません。これらの詐欺にはくれぐれも注意してください。
雑損控除を受けるためには確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示する必要があります。
給与所得のある方は、この他に給与所得の源泉徴収票(原本)を申告書に添付する必要があります。
雑損控除とは別に、その年の所得金額の合計額が1000万円以下の人が災害にあった場合は、災害減免法による所得税の軽減免除があり、納税者の選択によりどちらか有利な方法を選ぶことができます。
万が一の場合にはしっかりとこれらの制度を活用していきましょう。