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老人ホームに入居すると相続税が激増することがある??

こんにちは、鹿児島の税理士きしゃば会計事務所のブログです。

 

老人ホームに入居すると相続税が激増することがある?なんじゃそりゃ。

それはある特例を使って控除できるはずの税額が控除出来なくなるからです。

その特例はとズバリ、小規模宅地の特例です。小規模宅地の特例のうち特定居住用宅地の特例が使えなくなると相続税額がとんでもなく増額いたします。

 

まずこの小規模宅地の特例がどういうものかおさらいいたします。

被相続人(故人)の①自宅や②貸アパート、③個人事業で使っていた店舗、④地代をもらっている同族会社の建物の敷地などの土地のうち、故人の生活の基盤となる土地で、一定の要件を満たす土地は200~400㎡までの小規模な面積部分については相続税の対象から50~80%控除して計算してあげますよという制度です。

 

例えば世田谷に先祖伝来の土地、自宅の敷地が100坪あったとしましょう。路線価額が坪200万円相続税評価額は2億円ですから基本的な家族構成なら、まず相続税が2700万円ほどかかります。

 

資産家ならともかく、遺産は自宅土地建物だけで年金暮らしでギリギリの生活をしていた遺族にいきなり千万単位の相続税が課せられたら払えるわけがなく、自宅を売却して相続税資金を用意しなくてはいけない事例がたくさんありました。

 

さすがにこれは可哀そうということで故人の生活の基盤となる土地については大幅に相続税の対象から外してあげようという法律が追加されました。これが小規模宅地の特例です。

 

ただ老人ホームに入居するとこの小規模宅地の特例の特定居住用宅地の特例が使えなくなるケースがあります。

自宅から老人ホームに転居すると当然自宅は住んでいた居宅でなくなるので特定居住用宅地の特例が使えないように思われますが、老人ホームに入居することは本人の本意でなく介護などの健康上の理由であるため、本意の転居でないのに特例を取り上げて適用させないは不合理であるため老人ホームへの転居で自宅を空けることになっても次の要件を満たすときは自宅に居住しているものとして、老人ホームに転居しても特例を使わせるということになります。

  1. 介護が必要なため老人ホームに転居すること。『介護が必要』とは介護保険の要介護認定のことを言います。健康な方が高級老人ホームに入居することはこれに当てはまりません。
  2. 老人ホームに転居したあと、自宅を賃貸で貸し出さないこと。賃貸で貸し出せばそれは居住用宅地から貸宅地に利用目的が変わるためです。
  3. 都道府県知事への届け出のしてある老人ホームであること。まれに未届けの老人ホームがあるようですがこのような制度に則っていない施設については特例を使わせないとのことです。入居時には確認が必要かもしりません。

 

上記1~3の要件をすべて満たせば、老人ホームへの転居後についても引き続き自宅に居住しているものとして小規模宅地の特例の特定居住用宅地の特例が使えるのですが、ただ一つ注意していただきたいことがあります。

配偶者が自宅を相続する場合は無条件で小規模宅地の特例が使えるのですが、息子夫婦などの場合は、故人が老人ホームに転居する前から同居していないとこの特例は使えません。老人ホーム転居後に空いた自宅に息子夫婦が引っ越してくるケースではこの特例が使えませんのでご注意ください。

 

鹿児島の荒田周辺でも路線価は坪50万円は下りません。仮に面積100坪で坪60万円の自宅だった場合、この特例で4800万円分の土地評価の圧縮が可能です。

税率10%の帯なら480万円、20%の帯なら960万円も相続税額が違ってまいります、あとでしまったということがないように要件をみたしているか確認したほうがよいでしょう。

 

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