トップページ > 税金コラム > 相続税セカンドオピニオン事例②

相続税セカンドオピニオン事例②

こんにちは。鹿児島のきしゃば会計事務所の税理士の中村です。

前回の生前の預金移転の事例に続き二つ目のセカンドオピニオン事例をご紹介します。

 

小規模宅地の特例の選択ミス

 

相続税の計算の特例で小規模宅地の特例というものがあります、

故人が営んでいたお店の敷地、同族会社の建物が建っている敷地、故人が住んでいた自宅の敷地は一定の要件を満たせば相続税評価を80%減額して20%だけの評価でよい、つまり5000万円の土地なら1000万円で申告していいという特例があります。

相続税率15%だったなら相続税が600万円もすくなく済みます。

これは遺族の生活基盤となる不動産について手厚く保護する制度です。

これついて次のような誤りを発見したことがあります。

 

1.摘要不動産の選択誤り

相談を受けた当時、限度面積要件(この面積までは小規模宅地の特例の制度を利用して80%減額していいという上限面積)は同族会社建物の敷地330㎡、自宅敷地240㎡でした。

申告作成された税理士さんは「自宅敷地は240㎡しか控除できないが同族会社建物の敷地は330㎡も出来るから面積の広い後者を選択した」みたいでした。

ところが同族会社建物の敷地は鹿児島市吉野町にあり、自宅敷地は鹿児島市東千石町にありました。

控除できる面積は吉野の時の方が広いですが、土地単価は東千石町の方が10倍ほど高いので本来は控除面積が少なくても東千石町の土地を選択すべきでした。その方が相続税ははるかに安くなります。

2.限度面積まで控除しなかった

上の話はまだ続きがあります。同族会社建物敷地は300㎡しかなく、限度面積要件の条件が330㎡ですので残り30㎡が余り、これは自宅敷地から控除できるのですが余ったまま残りを控除していませんでした。

どうやらその税理士さんは1か所の土地でしかこの特例が使えないと勘違いしていたようです。1か所目で控除しきれない面積は2か所目の土地で控除できるのです。

 

この二つのミスで300万円ほど余計に相続税を支払っていました

相談者の方にこの事実を告げると激怒していました。当然でしょう。

残念ながら時効(当時は1年。今は5年)が過ぎており還付請求も出来ず何も打つ手がありませんでした。

トップへ戻る