相続した土地の価格のうち、最大80%を相続税の対象から外せる「小規模宅地等の特例」というものがあります。
これは、相続などにより取得した土地が、被相続人等の居住用、事業用、不動産貸付用などに供されていた場合、大幅に相続税の対象から外して、相続税の負担を減らしてあげ、相続税を支払うために自宅を、お店を売却するような事態を防ぐための制度です。
バブル期の地価か上昇しつづけた昭和60年代に出来たありがたい制度です。
小規模宅地特例の対象となる宅地には、主に下記のような土地があります。
特定居住用宅地等…被相続人等が住んでいた土地
特定事業用宅地等…被相続人等が商売をしていた土地
特定同族事業用宅地等…被相続人等の一族が経営する法人が利用している土地
貸付事業用宅地等…被相続人等が営んでいた貸アパートなど
摘要要件はいくつかあるのですがその要件の中に「その宅地等を相続税の申告期限(10ヶ月以内)まで引き続き有していること」という保有継続要件があります。
この制度は相続人が引き続き故人の自宅に居住する、故人の営んでいた商売を承継するならその土地については相続税の対象から事実上除外しますよという制度なので、相続した早々引っ越す、商売をやめる、土地を売却してしまう場合には救済しませんよという事です。
この「有している」とは、あくまで持っているかどうか、で考えます。
例えば、申告期限までの間に売買契約をしていても、引き渡しが申告期限後ならこの保有継続要件は満たすことになります。
このような落とし穴がありますので、相続税の申告依頼をいただいたお客様には「絶対に10カ月以内に売却して引っ越すようなことはしないでください」と念押しをさせていただいています。