事業用資産を買い換えた場合に、一定の要件を満たすと、「特定の事業用資産の買換の特例」を受けることができます。
この特例を受けるための流れとしては、
- 個人が事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等(譲渡資産)を譲渡する
- 一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産(買換資産)を取得する
- その取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供する
ことにより、一定の要件のもと、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となるわけではありません。)
一定の要件とは、以下のようなものがあります。
- 譲渡資産と買換資産は、共に事業用のものであること
- 譲渡資産と買換資産とが、一定の組み合わせとなっていること
- 買換資産が土地等であるときは、取得する土地等の面積が、原則として譲渡した土地等の面積の5倍以内であること。超える部分は特例の対象とならない。
農地への買換えの場合は10倍以内とされることがある
- 買換え資産を取得した日から1年以内に事業に使うことです。なお、取得してから1年以内に事業に使用しなくなった場合は、原則として特例を受けることはできません。
- この特例を受けると、「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」等の他の特例を同時に適用することはできません。
この他にもいくつか要件があります。
譲渡所得金額の計算方法は以下の通りです。(課税割合が20%の場合)
・売った金額(譲渡価額) ≦ 買い換えた金額(取得価額)の場合
譲渡価額に20%の割合を掛けて、収入金額を求めます。
次に、譲渡資産の取得費と譲渡費用の合計額に20%か掛けて、必要経費を求めます。
収入金額から必要経費を引いた額が課税される譲渡所得の金額となります。
・売った金額(譲渡価額) > 買い換えた金額(取得価額)の場合は、
譲渡価額と、買換資産の取得価額に80%を掛けた額の差額から収入金額を求めます。
譲渡資産の取得費に譲渡費用を足し、収入金額を譲渡価額で除した額を掛けて必要経費をだします。
そして、収入金額から必要経費を引いた額が課税される譲渡所得の金額となります。
この特例は、確定申告の際に譲渡所得の内訳書や買い替え資産の登記事項証明書などの書類を添付する必要があります。
さらに、譲渡した翌年中に買換え資産を取得する予定の場合には、「買換(代替)資産の明細書」を添付することになります。内容としては、取得する予定の買換資産についての取得予定年月日や、取得価額の見積額等の明細を記載する必要があります。