こんにちは。鹿児島の税理士、きしゃば会計事務所の中村です。
平成30年確定申告も前年同様譲渡所得の申告が多かったです。
そこで今回は譲渡所得の計算方法の基礎的な話をしたいと思います。
譲渡所得の計算方法
不動産を売却したことによって生じた所得を譲渡所得といいます。譲渡所得に対しては、他の所得と分離して所得税と住民税が課税されます。なお、譲渡所得がマイナスの場合には課税されることはありません。
■譲渡所得の計算
譲渡所得 = 譲渡収入金額※1 - (取得費※2 + 譲渡費用※3)
※1:土地・建物の譲渡代金、固定資産税・都市計画税の清算金
※2:次の①、②のうち大きい金額
①実額法:土地建物の購入代金と取得に要した費用を合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額
②概算法:譲渡収入金額×5%
※3:売るために直接かかった費用
課税譲渡所得 = 譲渡所得 - (特別控除※4)
※4:居住用の3,000万円特別控除の特例等
■税額計算
税額 = 課税譲渡所得 × 税率 (所得税・住民税)
譲渡益に対する税率は他の所得と分離して、分離課税の税率となり、対象となる不動産の用途や所有期間により税率が異なります。
■課税方法
所得税は、給与所得や不動産所得など各種所得金額を合計し総所得金額を求め、これについて税額を計算する総合課税が原則です。しかし、不動産の売却に伴って生じる譲渡所得については、他の所得とは合算せず、個別に税額を計算する分離課税方式が採用されています。
■所有期間によって課税方法が異なる
土地建物を譲渡した場合の長期譲渡所得と短期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か、5年を超えるかにより判断します。
なぜに所有期間で税率が変わるかというと土地ころがしで差益を稼ぐ行為を抑制するためです。バブル時はさらに超短期譲渡所得という税率が存在していました。
所有期間 |
判定 |
5年を超える土地・建物等 |
長期譲渡所得 |
5年以下の土地・建物等 |
短期譲渡所得 |
■譲渡所得の税率表
所得税の譲渡所得において居住用財産の譲渡は優遇されています。これは家を売るのは何らかの事情があることが多く、そのため居住用財産の譲渡についてはあまり税金を課さないよう配慮されています。
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所有期間 |
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長短区分 |
短期 |
長期 |
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期間 |
5年以下 |
5年超 |
10年超所有軽減税率の特例 |
居住用 |
39.63% (所得税30.63% 住民税9%) |
20.315% (所得税15.315% 住民税5%) |
① 課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21% (所得税10.21%・住民税4%) ② 課税譲渡所得6,000万円超の部分20.315% (所得税15.315%・住民税5%) |
非居住用 |
39.63% (所得税30.63% 住民税9%) |
20.315% (所得税15.315% 住民税5%) |
(注) 上記税率には、復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされています。