従業員に対する食事代については、一般的には福利厚生費が多いと思います。稀に給与として計上する場合があります。
しかし給与になってしまうと、会社には源泉徴収義務が生じ、また消費税法上は仕入税額控除の対象になりません。
会社で従業員に賄いを出したり、夜食代を現金で渡したりすることがあった場合、気をつけておかないとケースによっては給与扱いされることがあります。
もし、長年にわたり従業員の食事代を福利厚生費として処理していた飲食店に、税務調査が入り、その食事代が過去にさかのぼって給与と認定されてしまえば、源泉徴収義務と消費税の仕入税額の否認とで二重にペナルティを食らう可能性があります。
飲食業の税務調査ではよく指摘される事項です。税務調査立会で天文館あたりで開業されてる事業所で2度指摘されたことがあります。
◆通常の勤務時間内の食事代
まずは、通常勤務中の食事代についてです。
これは原則として給与になります。
ただし、以下の要件を満たしている場合には、福利厚生費として取り扱うことができます。
- 食事の価額の半分以上を負担していること
- 次の金額が1ヶ月あたり3,500円(税抜き)以下であること ※いわゆる3,500円基準というやつです。
【食事の価額】-【負担している金額】
食事を現物支給ではなく、現金で支給した場合には3,500円以下であっても給与となりますので気をつけてください。
◆残業の時の食事代
勤務時間外に勤務を行ったときに支給する食事については、会社都合によりやむをえず残業した場合に支給されるという理由で給与にはなりません。
社会通念上、高すぎない金額が前提ですが、これには回数の制限はなく、何回残業代が発生したとしても、給与としなくて大丈夫です。
ただし、このような場合でも、食事を現物支給ではなく、現金で支給した場合には、給与となります。
従業員に食事代を立て替えてもらっておいて、それを金銭で精算した場合は、給与になりませんが、その領収書を回収しなければなりません。
◆夜勤の夜食代
正規の勤務時間が午後10時から翌日午前5時までというような場合には、夜食代の取り扱いに気を付けなくてはいけません。代表的な職業は病院の看護師さん、ガードマンなどですね。
- 夜食代の金銭支給は給与
- 勤務ごとに300円以下の定額を通常の給与に加算して金銭支給した場合、給与ではありますが、課税はされません
- ただし、給与ではあるので、消費税の仕入税額控除の対象にはなりません。
- 夜食を現物支給した場合、深夜勤務ではない従業員の残業食事代とは異なり、原則として給与となります 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること 【食事の価額】-【負担している金額】
- 次の金額が1ヶ月あたり3,500円(税抜き)以下であること
- ただし、以下の要件を満たしている場合には、福利厚生費として取り扱うことができます。
これは通常の昼食代の要件と同じです。
従業員に対する食事代は、一回の金額は小さいのですが、長い期間で見ると無視できない金額になることもあるので、取り扱いには注意しましょう。