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中小企業退職共済(中退共)のデメリット

 

前回は中退共のメリットをご紹介いたしましたが、実はこの制度デメリットも多く存在いたします。

メリット、デメリットをよく理解し新規加入の参考にしていただければ幸いです。

 

デメリット1 法人(あるいは個人事業主)は受け取れない

毎月会社側が中退共に掛け金を支払うのですが、退職時は直接退職者に支払われます。特に問題のない退職なら良いのですが、会社に迷惑をかけての退職や最悪業務上横領なので犯罪行為での懲戒解雇でも原則退職者に直接支払われます。

これは会社からすると許しがたい制度だと思います。予告なしのいきなりの退職、同僚や取引先に迷惑をかけての退職だったとしても、円満退職者と同じ基準で退職金を支払う形となります。

ただ業務上横領などの懲戒解雇の場合は、厚生労働省に対して減額認定申請を出せば減額が認められることもありますが、なんとその減額分が会社に支払われるわけではありません!懲戒解雇者に対する嫌がらせの意味でしかなく、損害賠償金として徴収出来ないのです。

これが中退共の最大のデメリットでしょう。

 

デメリット2 掛け金の減額申請が面倒

加入時に設定した毎月の掛け金ですが、会社の経営が厳しくなったからといって容易に掛け金を減額出来るわけではありません。

  1. 掛け金の減額について従業員の同意を得たこと、2.減額理由を厚生労働大臣が認めた場合

という条件をクリアしないと認められません。

 

デメリット3 掛け金が戻らない場合がある

長期間加入後に退職する場合付加退職金まで付されて支払われるのでお得なのですが、掛けた期間が42カ月以下で退職しますとこの付加退職金は付されません(掛け金のみの支払い)。さらに掛けた期間が24カ月未満ですと、一部カット、最悪支払なしとなります。

こういう制度ですので人の入れ替わりの激しい業種では不向きの制度です。

 

デメリット4 契約者貸付制度がない

生命保険や小規模企業共済などにある契約者貸付制度が中退共にはありません。

これはデメリット1で解説したように「掛け金を支払った時点で会社のお金ではない」という基本概念に基づくものだからです。

 

デメリット5 保障として十分でない

掛け金は鹿児島の中小企業は1万2万という具合です。平均15000円として、30年勤務しても540万円です。上場企業や公務員さまに比べたらスズメの涙ですよね。

死亡退職でもとくに付加金があるわけではなく遺族への補償は何もありません。

 

 

ご説明したとおりデメリットの多い制度ではあります、とくにデメリット5で述べたように従業員への保障としては十分ではありません。

従業員を大切にする会社は中退共と平行して生命保険の団体保険などに加入されているところもあります。これですとさらにたくさんの退職金も支給出来ますし、死亡退職時は保険金が支給されますので、従業員遺族に十分な補償が出来ると思います。

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