そもそもなぜに税務調査が行われるのか?
法人税、所得税、相続税、消費税などの主要な税法は、納税者が自分で自分の事業の利益の計算を行い、自主的に納税額を計算し、納付する「申告納税方式」を採用しています。
しかし人間がすることなので、計算違いや経理ミス、あるいは意図的な脱税により本来納める税額より少なく納めている場合が多々あります。
提出された申告書(含む決算書)に疑うべき箇所がある、たとえば同業種と比べて利益率が低すぎる、去年まで右肩あがりだった業績が突然下がったなどという売上除外の疑いから調査をする場合もあるし、元従業員の密告という場合もあります。
また飲食店のような現金商売については別段理由なくても抜き打ちでやって来ます。
調査の種類ですが任意調査と強制調査があります。中小企業の場合ほとんど全部前者の任意調査です。税務署から納税者(顧問税理士がいる場合には顧問税理士にも)に電話連絡があり「○月○日から二日間税務調査したいのでスケジュール調整おねがいします」みたいな流れです。任意調査の場合はほとんどこのケースです。
先ほど飲食店の話をしましたが、飲食店の場合は予告なしにやってくる場合があります、朝突然訪問し「いまから税務調査したいのですが」とズカズカ入り込んで来ます。
強制調査ではないのですが納税者にあたかも強制調査のようにミスリードさせて調査を始めます。私も20数年の実務経験で3度ほどこのケースがありました。
さてもうひとつの調査、強制調査ですが正直私は体験がありません。映画「マルサの女」でしか知らない世界です。これは裁判所で捜査令状を取って家宅捜査するものです。件数として全国で年間200件程度。そのほとんどが刑事事件扱いになり有罪判決が言い渡されています。
税理士は全国8万人ほどいますし、こういう家宅調査を受けるような悪質な企業は税理士非関与が多いでしょう。そういう理由からほとんどの税理士は生涯強制調査未体験で終わります。
私の父の時代に一度あったそうで、警察の捜査そのものだったそうです。調査する調査官も所轄税務署でなく、令状持った熊本国税局査察部の人たちですからね。